青春18×2 君へと続く道 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
前情報無しで見てきましたが、とんでもなく考えさせられる映画でした。
ストーリー自体は正直よくあるタイプのものなのだが、撮り方が非常にうまい。
そして、役者陣の演技が素晴らしい。
台湾人の主人公が、日本を旅するストーリー。
新しい自分を探すための旅ではなく、自分が生きてきたこれまでの道を確認するための旅。
自分を一度立て直し、なんとかきちんと生きてこれたことを確認するための旅。
居場所がわからなくなってしまった時に、一度立ち止まって自分の軌跡を確認し、また新しく人生を歩みだすことを決意するための旅。
Jimmyは、Amiの一件があって、どうやって自分の人生を動かしていくべきなのか、さっぱりわからなくなってしまったんだと思う。
「夢が叶ったらまた会おう」なんて約束をAmiとしてしまったから、それに向かってひたすらに頑張ってしまったから、急に放り出されて、何が何だか分からなくなってしまった。
(にしても、Amiも、さすがにあの約束をするのは酷いよね。。。Jimmyの優しさに甘えすぎたんじゃないかな。Jimmyがどうなるかなんて、わかるはずなのに。今の私が同じ立場に立ったら、絶対に真実を話すと思う。)
Jimmyは若すぎて、Amiに依存しちゃってたんだろうな。今の自分が頑張れるのも、今の自分が感じているこの尊い感情も、全てこの人のおかげなんだ。この人こそ僕を作ってくれた人であり、この人こそ僕の全てなんだって、確信しちゃうの。
その気持ちは、昔の自分を振り返っても、痛いほどわかる。そういう感情って、青春っていうのかな、わからないけれども、とても美しく感じるし、それに酔っていたいという気持ちになるんだよな。。。
でも、今にして思うのは、物質的にも心理的にも、誰かや何かに依存してしまうというのは、本当に怖いということ。ぱたっとその依存先が消えてしまったら、自分の存在の意義が、同時に消えてしまうからね。
自分を支えるのは、自分を作るのは、どこまでいっても自分なんだ。
美しくもないし、実に孤独だけど、でも、それが真理だと、今は思う。
人生って、自分で全て決断しているつもりだけど、やっぱり外的な要因に流されてしまうことが多い。表面上は自分で決めたつもりなのに、「決めさせられた」「あなたが言ったから私はこうした」と思うことが、やっぱり多い。
外的な影響ばかりで人生を動かしてしまうと、自分が今どこに向かって何をしているのかがさっぱりわからなくなる。自分の人生を把握できなくなる。
把握できなくなると、もうパニックだよね。だって、今いる場所を見つめ直して、自分の行きたい方向を見定めて、そちらに舵を切り直すのは、とんでもなくパワーを必要とする作業だから。
だから人は、「忙殺されたい」と思ってしまう。自分の人生のかじ取りをしたくないから、ひたすらに目の前のことに集中して、このままフラフラと波に流されてしまいたい。。という思いが、これ。
でもこの考えって、やっぱり逃げなんだよね。。。
会社をやっていた時のJimmyも、この状態だったんだと思う。
自分が何をしたいのか、自分がどう生きていきたいのか、それをしっかりと自分自身の目で見つめることが、本当に重要だ。
外的な影響を受けないというのは不可能だけども、仮に他の影響を受けて物事を選択したとしても、「他でもない私自身がこれを選んだんだ」という強い気持ちがあれば、自分を見失わずに済むと思う。
誰かや何かに依存せずに生きていきたい。
依存しちゃうと、人間はその人や物のことを大切にできないんだ。
「この人、この物はいつかいなくなってしまうかもしれない」ということを常に意識しながら、そのリスクを常に考えながら生きていくことが何よりも大事だと思う。
大きな精神的・物質的支えが急になくなったとしても、なんとか自分の足でふんばっていける力が欲しい。
自分を失わずに、自分の人生を見つめ続けられる胆力がほしい。
でもね。
仮に一時でも、わからなくなってしまったら、一度立ち止まって、Jimmyと同じように旅に出ようかなって思った。
旅で出会う人とは、一期一会だ。そこにはなんの損得もないし、互いのこれまでの人生にも、これからの人生にも、大きな影響がない。
だからこそ、旅で出会うこれらの人からは、純粋な温かさを受けることができるし、こちらも与えることができる。
そういう出会いを通して、自分が、まっさらな一人の人間として何を求めているのかを考えることができる。
旅ってそういうものなんだろうな。
そんなことを考えた映画だった。